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野菜を食べないのは「味」だけが問題じゃない。"子どもの偏食”で悩む親に知ってほしいコト

家族・人間関係

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2022.04.19

臨床心理士・公認心理師のyukoです。好きなもの以外口にしない。食べられるものが極端に少ない。偏食への対応に四苦八苦している親御さんは多いかと思います。どんなに手を尽くしても口にしてくれないと、栄養バランスが心配なのはもちろん、悲しくなってきたり、イライラしたり。子どもの偏食にはどのように向き合っていけばよいのでしょうか。子どもと親の心を傷つけない、偏食対応について考えていきます。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

【特集】親も子も幸せになるための「子育て」

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もくじ

偏食克服の目的とは何か
どうして食べられないのか
知らない食べ物への不安や抵抗
食べ物や食べ方、食べる場面へのこだわり
咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)の問題
感覚の過敏さがある
子どもの偏食への対応
まずは一口飲み込むよう促す
苦手なものを食べたあとは、嬉しい気持ちで好物を食べる
家族が美味しそうに食べている姿を見せる
食育から「乗り越える力」を身に着けていく

偏食克服の目的とは何か

親としては、"食べることの楽しみを知ってほしい”、"美味しいものを好きになってほしい”と思いますよね。
一方で子どもは、匂いや触感、味に嫌悪感を抱いたり、知らないものへの恐怖を感じているかも。

また、食よりも大切と感じる目先の活動(ゲームやおもちゃ)から切り替えなければならないツラさもあります。

食べ物の好き嫌いは、大人であっても多少はあるかと思います。
「嫌い」を「好き」に変えるのは難しいものです。
「嫌い」という主張から否定され、美味しく食べられないことを責められると気持ちを否定されている感じがしてしまいます。

泣く子出典:www.photo-ac.com

偏食改善のゴールは、「苦手なものを頑張って食べようとする心構え」の形成だと思います。
苦手なものに向き合い、その姿勢を褒められる経験は、「嫌なことも頑張ってみる」心を育てていきます。

一口頑張って食べたあとは、「今日はこんなところか」とゆっくり考えていくのもよいかもしれません。

どうして食べられないのか

知らない食べ物への不安や抵抗

初めてのもの、初めてのことに対する警戒心が強い子も多く見かけます。
何かわからないものは口にしたくない、馴染みのないものは自分の中に取り入れたくないという拒否感を抱えているようです。

嫌がる子出典:www.photo-ac.com

食べ物や食べ方、食べる場面へのこだわり

こだわりの強さが偏食に繋がっているケースもあります。
決まった菓子パンしか食べない、野菜はカレーに入っているもの以外は食べない、給食の白米は食べないなど。

拒否する子出典:www.photo-ac.com

こだわりの強さは一見すると、わがままや頑固さとも捉えられます。

ただ、こだわりの背景には、「わからないものへの不安」や「嫌な思いをすることへの怖さ」が隠れていることも。
ルーティンを大切にすることで、自分を守っているケースも多いです。

咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)の問題

唇や舌の働きが十分でない場合、うまく噛めないものや固いものに苦手意識がある子もいます。
言葉でうまく説明できない年齢では、食べ方や飲み込み方を観察し、専門家に相談してみるのもひとつです。

食べるのを嫌がる子ども出典:www.photo-ac.com

感覚の過敏さがある

発達上の特性として、視覚や嗅覚、触覚に過敏さがあったり、多くの人とは異なる捉え方をする場合もあります。

視覚的な捉え方に特徴のある子は、食べ物の繊維や粒子を見て、不気味さや怖さを感じる子もいるんです。
また、触覚や嗅覚の過敏さがある子は、家族は気にならない匂いを強く気にしたり、ざらざらした表面の食べ物を食べたとき"痛い”と感じることも。

泣く子ども出典:www.photo-ac.com

感覚の過敏さは周囲からは見えにくく、本人の中で抱え込むしかない辛さとなってしまうケースも多いです。
子どもが嫌がるものについて、「五感」の視点から捉え直し、特性を理解する対応も必要です。

子どもの偏食への対応

まずは一口飲み込むよう促す

苦手なものをまったく受けつけず、食べさせようとすると大声で泣くなど、大きな抵抗をする子も多いかと思います。
そして、「そこまで嫌がるなら」と思い諦めてしまう方も多いのでは。

ですが、ときに、"泣いたり騒いだりすれば食べなくてもよい”と学んでしまうことも。

叱ったり脅したりして無理に食べさせるのではなく、毅然とした態度で一口を促す関わりが大切です。
気持ちが落ち着くまで待ち、「食べても怖いことはない」という声かけで応援するのもひとつ。

食べさせてもらう子出典:www.photo-ac.com

少しずつ量を増やし、頑張れたときはしっかり褒めるのを忘れずに。

苦手なものを食べたあとは、嬉しい気持ちで好物を食べる

「苦手なものを食べたら好きなものを食べられる」というルールにしていくのもひとつです。
ルールがわかると、一口食べる作業がスムーズになってきます。
そして、日常の活動においても「面倒なことをやったあとに好きな遊びができる」と習慣づけられます。

楽しそうに食べる子出典:www.photo-ac.com

私個人の考えとしては、数種類の好き嫌いは許容されてもいいと感じます。
ただ、野菜全般が食べられない、毎日決まったものしか口にしないとなると、栄養バランスが偏ってしまいます。

食事の時間が苦痛にならないよう、"日々の食事時間は楽しいもの”という意識を育んでいくのも重要です。

家族が美味しそうに食べている姿を見せる

家族が美味しそうに食べている姿を見て、”得体のしれない食べ物”から、”大丈夫そうなもの”と、印象が変化する可能性もあります。
注目しない子に対しては、「見て」と促したり、「ママ何食べてる?」など尋ねてもよいかもしれません。

美味しそうに食べる親出典:www.photo-ac.com

食育から「乗り越える力」を身に着けていく

食への興味やこだわりは、子どもによって様々です。どのように対応していくべきか、悩んでしまうこともありますよね。

子どもの食事風景出典:stock.adobe.com

「できた」という経験は、きっと色々な活動に生きてきます。
親子で子どもの食に向き合っていく中では、「頑張って乗り越える力」を育んでいけるといいですよね。 
 

【参考文献】
・「具体的な対応がわかる 気になる子の偏食 発達障害児の食事指導の工夫と配慮」(2014) 徳田克己(監修)西村美穂(編著)水野智美(編著)チャイルド本社
・「子どものこだわり」(2015)宮岡等・本田秀夫・青木省三(著) 日本評論社

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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