娘には、「言いたいことは我慢しなくていい」と教えてきた
中学1年生の娘がいる。私の大事な、大事な娘。愛情をたっぷりかけて育ててきた。
娘を育てる中で、私が大切にしてきたことはたくさんある。そして、小学校高学年になったころから娘に意識的に教えてきたことがある。
「いやなことはいやと言っていい」
「言いたいことは我慢せずに言っていい」
「自分の気持ちを押し殺して、誰かに合わせるようなことはしてはいけない」
「どんなときも、自分の気持ちを一番大事にしてほしい」
ということ。
娘が何かに悩んだときには、「本当はどう思っているの?」「言いたいことがあるなら、ちゃんと伝えていい」と言ってきた。
そんな娘が最近、中学校で友達から直接、悪口を言われることがあった。
話を聞いていると、娘のほうも友達に対して、少し強い言い方をしてしまうことがあるようだった。
私は娘の話を聞きながら、つい、
「もしかしたら、あなたも強く言いすぎていることがあるのかもしれないね」
と言ってしまった。
そしたら娘が、
「だって、ママが言いたいことは言えって言ったんだよ」と言った。
その言葉に、私は一瞬、何も言えなくなってしまった。
12歳には、まだ難しい「正しさ」
「そうだよね……」。
私は確かにそう教えてきた。でも、私が「言いたいことは言っていい」と教えているとき、その中には、
相手の気持ちも考える。
言い方には加減をつける。
言うタイミングも考える。
そんな意味を含んでいた。
でも、12歳の娘には、「言いたいことは言っていい」ということしか伝わっていない。
私が教えていることは、大人だってうまく使いこなせない処世術なのかもしれない。12歳の娘にとっては、まだまだ扱うのが難しい術だとしても仕方がない。
「言いたいことを言う」と「思ったことをそのまま相手にぶつける」は、同じではない。
自分の気持ちを大切にすることと、相手を傷つけないこと。
その両方を大切にするには、経験が必要なのだ。私はそこまで教えていなかった。
それに気づき、「あー、難しい!」と思った。「言いたいことは言わなくていい」と教え直したいわけではない。むしろ、これからも娘には、自分の気持ちを大切にしてほしい。
いやなことをいやと言える人でいてほしい。
ただ、その力には「使い方」があることも、一緒に覚えていってほしい。
そして、もうひとつ、娘に伝えたことがある。
もし娘の言い方に、直したほうがいいところがあったとしても、だからといって、誰かに悪口を言われていいわけではない。
これは別の話だ。
自分の言動を振り返ることと、自分が傷つけられることを我慢することは違う。
そこは、親としてきちんと伝えていきたい。
武器を渡した親として、一緒に使い方を覚えていく
子育てをしていると、「これが大切」と思って伝えたことが、思いもよらない形で子どもの手に渡っていくことがある。
親にとっては「自分を守るための言葉」だったはずが、子どもにとっては、まだ使い方の分からない武器になることもある。
だからといって、その武器を取り上げたり、早すぎると渡すのをやめるのではなく、「どう使えば、自分も相手も大切にできるのか」ということを、一緒に覚えていくことが大事なのだと、今回のことで学んだ。
今の娘と私に必要なのは、今回の出来事を、人生の経験として乗り越え、学ぶこと。
子育ては、本当に難しい。
何が正しいかだけではなく、その正しさを、その子が今どんなふうに扱えるのかまで考えなくてはいけない。
子どもが成長するたびに、親もまた、伝え方を変えていく。
12歳の娘を見ながら、私もまだ、親として成長の途中にいるんだなぁと改めて感じた。



