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仕事が遅い自分も受け入れるべき……?巷でいう「ありのままの自分でOK」の本当の意味

働く・学ぶ

2022.08.12

心理カウンセラーの古庄由佳です。カウンセリングに来てくださる方には「うさこさん」と呼ばれています。 自分の心に蓋をして、我慢を続けて生きるのはとてもしんどいですよね。最近はスマホやSNSのおかげで情報が溢れてすぎているためか「自分の考え方がおかしいのかも」「私だけじゃないし」とガマンしてしまっていることもあるようです。自分の人生をHappyにするかどうかは自分が決めると信じて、皆さんのお悩みに答えます。

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連載:心理カウンセラーうさこの「心を軽くする考え方」

相談:仕事が遅い自分も「ありのまま」受け止めるべき…?

落ち込む女性出典:stock.adobe.com

(埼玉県 30代 今中さん)

私は事務作業(紙媒体やPC作業)のスピードが他の人よりも遅いので「はやくはやく!」と思い努力はするのですが、どうやっても周りの方より遅くなってしまいます。

上司から指摘を受けたこともあり、役に立たない自分に自信を持つことができません。
巷では「ありのままの自分でOK!」といった言葉を耳にします。
私も自分のことを好きになりたいとは思うものの、「でも仕事が遅いし、泣き虫だし、これから生きていく自信もない……。」と思って自己否定してしまいます。

プライベートの事であれば、自分のペースでやっても自己否定はしないのですが、仕事となるとそうはいかず。
「ありのままの自分」とは、仕事が遅い自分でもいいと認めることなのでしょうか?それでいいのでしょうか?
どんな風に解釈をして受け入れたらよいのか、教えていただきたいです。
 

「ありのままでOK」の本当の意味

回答

「ありのままでOK」、確かによく言われますね。そして、私自身も心理カウンセラーとして、どんな人も本来ありのままで素晴らしいものと考えて、そうお伝えしています。
 
とはいえ、「仕事が遅くて悩んでいるのに、そのままでOKとはどういうことだろう?」と疑問に感じるお気持ちもよくわかります。ちょっとわかりにくい部分もあるこの言葉、わかりやすく解説していきますね。
 
まずひとつめにお伝えしたいのが、「行動と存在は別」ということです。
人間ですから、誰だって「あちゃー」と思うような行動をしてしまうことはありますよね。でも、それとその人自身の素晴らしさは全く別物。そして、誰もが得意と不得意、長所と短所を持っています。でも、それによって存在に優劣が生まれることはありません。
 
今中さんが「スピードが求められる仕事がニガテ」だとしても、今中さんの人としての素晴らしさや価値は何も変わりません。仕事が遅くても、泣き虫でも、今中さんは存在そのものが素晴らしいんです。これがありのままを認める、ということなんですね。
 
ここをおさえていただいた上で、次にやってみてほしいのが「遅い」に(バツ)をつけないことです。
 
人は誰もが違う性質を持っています。「遅い」も「早い」もただの特徴ですし、「涙が出やすい」も「出にくい」もご本人の性質です。どちらか一方だけが素晴らしくて、どちらか一方だけがダメなんてことはありません。
 
ですから、「遅い」にバツもマルをつけずに、「ああ。私はゆっくりタイプなんだな」とフラットに受け止めてみてください。
 
人は、劣等感がある特徴をなかなか直視することができません。「隠さなくちゃ」と思ってしまうんですね。だから「仕事が遅い私」にバツをつけていると、自分を冷静に見ることができなくて「早く早く!」と自分を焦らせてしまう。それによって大切な作業を見落としたり、慌ててミスをしたりして、余計に遅くなってしまうかもしれませんよね。
 
では、劣等感を持たず「ゆっくりタイプな私」を冷静に見つめることができたら、どうなるでしょう?
 
たとえば、どうしてもスピードが重視される仕事なのであれば、「早い人」にコツを教えてもらったり、自分の進め方とどこが違うんだろう?と比べてみたりすることで、ただ自分を追い立てるだけではない、別の視点での改善ポイントが見つかるかもしれません。ゆっくりタイプの事務作業攻略法を見つけてみるのもいいですね。
 
あるいは、冷静に見つめることで、「ゆっくり」の裏側にある素晴らしさに気づけるケースもあるでしょう。たとえば、「私は、丁寧さを大切にしていたんだな」などと。そして実は、作業によっては、スピードだけが重視というわけではなく、その丁寧さなどによって、本当は評価されている部分もあったんだなと気づけるかもしれません。
 
「自分という存在はありのままで素晴らしいんだ」と受け止め、自分の特徴にバツをつけるのをやめると、その特徴を「どう生かすか?」が見えてくる。これが「ありのままでOK」の本当の意味です。
 
実は私も、超ゆっくりタイプで、何をやっても人より遅い自分に何度もがっかりし、たくさん自己否定してきました。でも、今ではすっかり違う見方ができるようになりました。今中さんは、決して役に立たない人なんかではありません。同じゆっくりタイプとして、自分を認め、生かしていきましょうね。

 

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著者

古庄由佳さん

古庄由佳(うさこ)

17歳の頃に、徐々に視機能が失われていく難病であると診断される。病気に負けず頑張りたいのに、体も心も人間関係もどんどん壊してしまう。そんな生きづらさから、心のことを学び始める。2012年より、心理カウンセラー、セミナー講師、心理スクール講師として活動。自分との仲直りをテーマに、本来の魅力や才能を解き放っていく心理カウンセリングの他、病気からのサインを受け取り、本来の自分らしい人生を取り戻していく卒病カウンセリングも好評。20年近く住んでいた東京を離れ、2019年に福岡県糸島市に移住。著書は「心屋流 戦わないで生きていく」「心屋流 がんばらないレッスン」(ともにPHP研究所)。

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