「叱らない子育て」を息苦しく感じる方が多い
子どもは褒めて育てるべき、叱りすぎるのはよくない、などネットでは「叱らない子育て」に注目が集まっています。
「叱らない子育て」とは、叱る代わりに伸ばしたいところを褒めたり、親がお手本を見せてルールを守るように伝えるなど、感情的に怒らない関わり方をいいます。
たしかに、ずっと穏やかな気持ちで子どもに関われたら平和かもしれませんね。
ですが、親も一人の人間です。
疲れていたり、イライラしたとき、強く怒りすぎてしまうときもありますよね。
大切なのは「叱らない」だけではなく、「子どもに伝えたいことが伝わっているか」。
子どもに対する「叱り方」について、今一度考え直していきます。
今一度考え直したい子どもへの「叱り方」について
ときに感情的に怒るときがあってもよい
常に感情を抑えて、冷静に接するのが必ずしもよいとは限りません。
本当に大切なメッセージは、ときに感情を伴って伝えた方が心に残りやすいものです。
例えば私は、「命に関わる危険性があったとき」「自分自身や誰かに手を出したり傷つける言葉を言ったとき」、この2点に限っては感情的になっても強く言い聞かせるようにしています。
「自分も周囲の人も大切に想って接してほしい」と考えているとわかってほしいからです。
「親が子どもにしてほしくないこと」と広くとらえると、その時々で軸がぶれてしまったり、親から子への要求が増えていくのでおすすめできません。
- 汚い言葉を使ったとき
- 兄弟姉妹に手を出したとき
- 食事を粗末にしたとき
子どもに何を大切にしながら育ってほしいのか。夫婦で話し合っておくのがおすすめです。
叱っているとき以外に親が大切に思っている考えを伝える
普段は真面目な話をするのが照れくさかったり、忙しくする中で忘れがちですが、親がもっている信念や価値観を伝える機会はとても大切です。
親にあまりよい印象を抱いていないお子さんからは、よくこんな言葉を耳にします。
「うちの親は勉強勉強ばかり。学歴しか興味ないんだよ。」
「行儀よくしろ、迷惑かけるなとか。人の評価ばかり気にする親なんです。」
「今どこにいるの?何時に帰ってくるの?としつこく連絡してきて。帰ったらいつも遅いと怒られる。過干渉なんです。」
お子さんの言葉だけを聞いていると、親御さんに対してよい印象が抱きにくいですよね。
ですが実際親サイドの話を聞いてみると、必ずしも、愛情が歪んでいたり過干渉なわけではありません。
「自分たち両親がいなくなったあとでも、自立して生きてほしい。今は大学を出ないと安定した職業に就くのが難しい時代だから心配で口うるさく言ってしまうんです。」
「第一印象や見た目で判断されて損してほしくないから、今のうちから世を上手く渡れるような癖を身に着けてほしくて」
「物騒なニュースが多いから、夜暗くなって制服の子が1人で歩いてて大丈夫か不安なんです。暗くて治安のよくない場所もあるから避けてほしくて。」
どの親も、子どもへの愛情ゆえに、強く言い聞かせたいメッセージを送っているんですよね。
ですが、叱りながら伝えてしまうと、まっすぐ受け取ってくれないのが難しいところ。
親がどんな価値観をもち、子どもに何を大切にしてほしいか。
大人になるまで、いえ、大人になっても気づけない方は多くいます。
落ち着いて食事をしているとき、夜眠る前、テレビで関連する話題がでたときなど、生活の中で冷静に率直なメッセージを送るのが重要です。
親が感情的になっているときは率直に伝えるのもひとつ
親がイライラしているから自分に怒っているのか。
それとも本当に大切な内容だから怒っているのか。
子どもからは判別が難しいものです。
‟ママ、またイライラしてるから収まるのを待とう”、‟きっと八つ当たりだ。スルーしよう”などと思われてしまうと、親の思いが伝わらず、また同じ喧嘩をしてしまいます。
「お母さんも今疲れていて強く言ってしまいそうだから、あとで改めて話そう。」
「さっきは強く言いすぎたけど、これだけは伝えたかったんだ。忘れないでほしい。」
など、時間をおいて話し合ったり、大切な内容をあとから改めて伝えるのが肝心です。