教えてくれたのは……石田勝紀さん
20歳で学習塾を創業して以降、4000人以上の生徒に直接指導、講演会やセミナーを含め、5万人以上に「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱に指導。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』(KADOKAWA)ほか多数。
『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』(KADOKAWA)
著者:石田 勝紀
価格:1,540円
親子が合意したルール作りの基本
子どもにゲームを持たせた時点で、夢中になってしまうことは既定路線だと考えましょう。そして、わかっておきたいのは、「子どもにゲームをやめさせること=子どもがすすんで勉強するようになる」では決してないということ。それを理解した上で、使用を制限させたい場合は、ルールを決めて、メリハリをつけることが肝心です。
「子どもは時間の概念がまだはっきりないので、親がルールを作って時間をコントロールしてあげたらいいんです」と教育評論家である石田さんは言います。そこで大切なのが、親子の合意です。子どももルール決めに参加し、あいまいにせず、互いにしっかり向き合ってみましょう。
それでは、ルール作りのポイントをご紹介していきます。
1:ルールは子どもから言わせる
「ゲームは1日●時間まで」といった時間の部分など、ルールを子ども自身に決めてもらいましょう。そうすることで、「ルールへの責任感や主体性を持たせることができます」(石田さん)。
2:子どもの意見は否定しない
子どもが「わからない」と言ったり、無茶なルールを言ったりする場合でも、勝手に親がルールを決めてはいけません。「じゃあ、お母さんが決めていい?」と子どもに承諾を取ってから、提案しましょう。
3:具体的な選択肢を提案する
「【平日30分】か【休みの日に2時間】ならどちらがいい?」など、具体的な選択肢があると、子どもは選びやすく、ルールがイメージしやすくなります。
4:ペナルティを決めておく
最初にルールを守れなかったときのペナルティ(1週間ゲーム禁止)などを決めておきましょう。
5:ルール決めの様子を動画で記録
親子でのルール決めの様子を録画をすることで、子どもも忘れず、あとから振りかえることができます。
6:お試しで1週間やってみる
まずは1週間ほど試して様子をみましょう。そして「1週間やってみてどうだった?」と聞いてみてください。厳しそうであれば、再度子どもに考えさせてルールを更新しましょう。
ルールを破ったときの声かけ
ルールを破って、ゲームをし続ける子どもに対して、つい出てしまう言葉は「早くやめなさい!」「いつまでやってるの? ゲームは1時間って決めたでしょ」といったネガティブな言葉になりがちです。さらに怒鳴ったり、早口でまくし立ててしまうと、相手には怒りの感情しか伝わらず、一番わかってもらいたいことが伝わりません。
そこで石田さんのおすすめな声かけはコチラ!
・「守れないなら、ルールの見直しをしようか?」
ペナルティを破ったときがルールの見直しのタイミング。この言葉なら親も冷静な気持ちで発せられそうですよね。
声かけのテクニック
ちょっとした注意や、怒っていない言葉でも敏感に受け取ってしまうような子には、「声のトーンを上げて、早口でサッと話すと子どもが軽く受け止めます」と石田さん。逆に子どもが危ないことをしたときや、真剣に注意しなくてはならない局面では、「声のトーンを下げて、ゆっくり話すと、相手も真面目に受け止めます」とのこと。
ルール作りは子のためより、親のイライラ防止
子どもがゲームに熱中になるということは、全部が全部悪いことではありません。「ゲームにハマれるということは、それだけ何かに夢中になれること。長所でもあるのです」だと石田さんは言います。好きなことを続けることで自己肯定感が満たされたり、将来の仕事選びへのきっかけになることだってあるからです。
さらに石田さんは「そもそも親がイライラしなければ、ルールはなくてもいい」と言います。「ゲームをする子をコントロールできずに親がイライラ→小言を言われる子どもにもストレス→反抗してゲームをやめない」といった負のスパイラルが起こる場合はルール作りが必要になりますが、親子が状況に納得しているのなら、ルールを厳しくする必要はないとのこと。ゲームは教育に悪いなどといった世間的な目を気にする必要はなく、家庭の考え方はそれぞれなので、親子がストレスなく長所を伸ばしていける環境づくりが大切です。
ルール作りは子どものためではなく、じつは親のためだったというのが衝撃的でしたね。親子で納得できるルール作り、そしてそのルールをしっかり守れるよう運用していくことが大切です。勉強をさせたいから、ルールを守らせたいからとネガティブな言葉ばかりを投げかけるのではなく、発想の転換をして、ポジティブな言葉で子どもの気持ちを導いていくことを意識してみましょう。