「とらわれている言葉」がある人は約3割
皆さんには、幼少期に親に言われて、大人になった今でも気にしてしまう言葉はあるでしょうか? 今回、saita独自のコミュニティ組織「saitaコミュニティラボ」でアンケート調査を行いました。その結果、そういう言葉があると答えた人は34.3%で「いいえ」と答えた人は65.7%でした。
6割以上の人にはないようですが、約3割の女性は今でも親から言われた一言にとらわれてしまっているようです。
私がとらわれている言葉
約3割の女性に「とらわれている言葉」があるということでしたが、具体的にみなさんはどのような言葉に苦しめられたのでしょうか。コミュニティラボのみなさんからいただいた経験談の一部を抜粋してご紹介します。
性別に関すること
『男の子が欲しかった』
『女の子だから(ランドセルや小物など)黒より赤にしなさい』
『女の子だから女の子らしく』
今でこそ「ジェンダーレス」などの言葉がある時代ですが、以前は今よりも男女がはっきりと分けられていましたよね。
そんな中で「女の子だから」と一括りにされ、つらい思いをした人は多いようです。
じつは筆者も昔、父親や祖父から言われた「男の子じゃなくて残念だった」という言葉を言われ気にしてしまった時期がありました。
親からしたら何気ない一言でも、子どもにとっては今の自分を否定された気持ちになる一言になることもあるんですよね。
見た目や性格のこと
『妹の方が顔が可愛いと言われたことです。事実だから仕方がないとはいえ、本当に心が傷ついたし、今も強く引きずってしまっています』
『あなたは顔がキツめなのでいつでもニコニコしていなさい』
『甘え方が下手くそだね』
容姿のことを言われて傷ついたという方はとても多いようです。
大人になった今であれば「親に似たんだよ!」と言い返したいところですが、子ども時代にこんなことを言われるのはきっととてもつらかったと思います。
また、性格についてもご紹介した「甘え方が下手」のほかに「器用でない」「もっと素直になれ」などの一言に傷ついたという声も。
性格はその家庭環境や兄弟関係も関係しているかもしれませんので、親から断定的に言われるととても悲しく感じてしまいますよね。
きょうだいと比べたり差をつけたりすること
『お姉ちゃんでしょ?』
『4人姉弟の長女の私は、下が泣くと全てにおいて長女の責任とされ、理由を聞かれず、走ってきた父親に殴る蹴るをされてきました』
『兄弟と比較され「運動ができない分、勉強を頑張りなさい」と言われた』
きょうだいと比べられたり「お姉ちゃんだから」と責任を取らされてしまうことは多いのかもしれませんね。
私も3人姉弟の真ん中で、小さな頃からよく成績の良い姉と比べられたり、弟と何かを分けるときには「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われたりしました。
大人になってから「姉にも妹にもなれるのが羨ましい」と友人に言われたことがありますが、子ども時代にはこの「どっちに転んでも嫌な思いをする環境」がとても憎かったです(笑)。
「とらわれている言葉」には他にも、「あんたは失敗作」や「馬鹿じゃない?」など、読んでいて苦しくなってしまうものばかりでした。
読んでいるだけでもつらいのですから、子どもの頃に言われた本人にとっては「つらい」の一言では済まないくらい傷ついたと思います。
その「言葉」たちは大人になったみなさんにどのような影響を与えているのか……? 気になりますよね。
大人になった私に「親の言葉」が与えた影響
「昔、親から言われた一言」がどのように今も影響しているのかも教えていただきましたのでご紹介します。
「お姉ちゃんなんだから」
『苦しくても人に甘えるのが苦手。ギリギリまで我慢してしまう』
『ことあるごとに制限されたことで、自分で踏み出す勇気が無くなった』
「あなたは頭が悪い」
『今でも人に頼ってばかりいるので、覚えようとしない』
『ずっと自分に自信が持てない』
「しっかりしてる」
『親の期待を裏切らないようにしなきゃと思いながら生きてきました』
親から言われた一言は、大人になった今でも本人を傷つけていることが多いことが伺えました。
そして一見、褒め言葉のように思える言葉でも本人にとっては重いプレッシャーとなってしまう可能性があるということも。
容姿のことや性格のことを言われたという人たちも「私はどうせ◯◯だから」とすぐに諦める癖が抜けないと教えてくれた方もいました。
親の言葉に負けないようにみんながしている工夫
親から言われている一言に今もとらわれていると言いつつも、その「言葉」に負けないようにしている工夫もあるようです。
『自分自身に「頑張ったね。休んでいいんだよ。大丈夫だよ」と言ってあげるようにしている』
『自分は同じ繰り返しはしない。母を反面教師にする! と心に決めています』
『心身共にきれいになる努力を日々重ねていくことです。自己肯定感やコンプレックスが消えることはないけれど、メイクやファッションなどを工夫したり、内面を磨く努力を続けていったり、薄皮をはぐような感じではあるけれど少しずつ劣等感が和らいでいっているように思えます』
親の言葉を反面教師にして「自分は子どもには絶対にこう言わないようにする」と気をつけている方が多いようでした。
親からの一言によってつらい思いをしたからこそ自分で自分をねぎらい褒める、という声もありました。努力することで、劣等感が薄れているといった声も寄せられています。
言葉で苦しんだからこそ、優しい言葉を紡ぐ大人に
親に言われて今でもとらわれている言葉がある女性も、今は大人になって子どもを育てる側にいるという方もいます。
私自身、小さい頃に「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われ続けたのが苦痛で娘には同じことを言わないようにとずっと心掛けています。
今回「とらわれている言葉がある」と答えた人たちも、親の言葉を反面教師にしたり「親からの言葉」に負けないように前向きに自分磨きをしたりして、「言われたことを気にするだけでは人生もったいない」という想いがあるようにも感じました。
時に人を傷つけてしまう凶器にもなる「言葉」は、反対に人を勇気づけて力を与える糧にもなります。
とらわれている言葉がある私たちは特に、子どもや周りの人たちに優しい言葉を紡いでいけるように心がけていきたいですね。