「固定金利」と「変動金利」の違いは?何の影響を受ける?
まずは、住宅ローンの金利について、「固定金利」と「変動金利」の違いから確認しましょう。
固定金利とは
「固定金利」は、住宅ローンを契約したときの「金利」がずっと変わらず、毎月の返済額も一定です。「長期金利」の影響を受け、一般的に「変動金利」よりも高めとなっています。
変動金利とは
「変動金利」は、返済期間中の「金利」が上昇したり「下落」したりします。そのため、毎月の返済額も「金利」によって変わる可能性があります。
「変動金利」は、日銀が短期(1年未満)で企業に貸し出しをする時の「政策金利(短期金利)」の影響を受けます。
住宅ローンの固定金利はじわじわ上がってきているのに対して、変動金利にあまり動きがないのは、「固定金利」と「変動金利」の基準となる「金利」が異なっているためです。
変動金利が上がったら、すぐに毎月の返済額は上がるの?
今後「変動金利」が上がったら、すぐに毎月の返済額は増えるのか、解説していきます。
多くの銀行では、半年ごとに金利の見直しをしますが、毎月の返済額の見直しは5年ごとに行います。つまり、5年間は毎月の返済額は変わりません。
もし「変動金利」が急に上がり、返済額が増えた場合、今までの返済額の125%を超えることがない、「125%ルール」という制度があります。例えば、毎月の返済額が10万円だった場合、金利変更時の毎月の返済額は最大で12.5万円になります。
このように、変動金利は金利が上がったとしても、すぐに返済額が増えることがないような仕組みがありますが、急激な金利の上昇が起きた場合、利息が返済額を超えてしまうことがあります。これを「未払利息」といい、注意が必要になります。
変動金利の上昇に備えて何をしたらいいの?
今後、金利が上昇した場合の対策としては、以下2つが考えられます。
- 固定金利に借り換えをする
- 繰り上げ返済をする
以下の事例をベースに考えていきます。
【Aさんの事例】
借入金額:5,000万円を変動金利で借り入れ
返済期間:35年
当初の金利:0.3%
毎月の返済額:125,421円
Aさんは10年間返済を続け、ローン残高は約3,625万円になりました。
しかしその後、金利が1%上昇して1.3%に。(あくまで仮定です)
金利上昇のため、10年後からの毎月の返済額は141,579円になってしまいます。
Aさんはどうすべきでしょうか。上記の事例をベースに、ここから2つのシミュレーションを見ていきましょう。
1.固定金利に借り換えをした場合のシミュレーション
金利:1.830%(2024年6月現在)でフラット35に借り換えた場合。
返済期間:25年(10年間は支払い済みのため)
毎月の返済額:150,647円
固定金利に借り換えをした場合、毎月の返済額は固定になるため、金利が上昇しても不安にはなりませんね。ただし、変動金利よりも固定金利の方が毎月の返済額は大幅にアップしてしまいます。
また借り換えをした場合、印紙税・登録免許税などの諸費用もかかってきます。
参考:知るぽると 借入返済額シミュレーション(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/sikin/menu/s_kariire.html)
2.一部繰り上げ返済をした場合のシミュレーション
100万円を繰り上げ返済(返済額軽減型)した場合、毎月の返済額は137,672円。固定金利に借り換えよりも、毎月の返済額の負担は少なくて済みます。一部繰り上げ返済は、金利が上昇した時の対策としては有効だと考えられます。
参考:三井住友銀行 一部繰上返済シミュレーション(https://www.smbc.co.jp/sim/servlet/sim.IchikuriSimServlet)
家計を見直し、貯蓄をしていくこと
住宅ローンの返済は長期間に渡ります。これから金利がどうなるのか誰にも予想できませんし、何が正解かは返済が完了してみないとわかりません。どのような状況になっても対応できるように、家計を見直し、貯蓄を増やしていくようにしましょう。