「高額療養費制度」とは?
高額療養費制度とは、けがや病気で高額な医療費を払った場合、自分が支払わなければならない医療費の負担額を減らすことができる制度です。がんなどで、入院や手術が必要になった時や、治療が長期にわたる時など、私たちの医療を経済的に支えてくれる重要な制度だと言えます。
では具体的に、どのくらい自己負担額を減らすことができるのか確認していきましょう。高額療養費制度を利用する場合の自己負担額は、年齢とその人の収入によって決められています。一般的に、収入が多い人の医療費負担は大きく、逆に収入が少ない人の医療費負担は小さくなる仕組みです。
例えば、70歳未満で収入が少ないとされている、住民税非課税世帯の方の場合、1ヶ月の自己負担額の限度額は、35,400円と決められています。
一方、70歳未満で、標準報酬月額83万円以上の方の場合(月の収入が大体83万円以上の場合)、1ヶ月の自己負担額の限度額は、252,600円+(総医療費-842,000円)×1%で計算されます。
また高額療養費制度は、同じ世帯の場合、世帯の人の医療費を合算して利用することができます。さらに同じ世帯で、年間に何度も高額療養費制度を利用する場合、自己負担額が軽減される仕組みとなっています。
高額療養費制度を利用した場合の自己負担額について、詳しく知りたい方は、全国健康保険協会などのホームページを確認するとよいでしょう。
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今後の変更予定
2025年の国会で議論されている高額療養費制度の改正とは、この自己負担額の引き上げについてです。収入が高い人も、低い人も、すべての人が、今までよりも自己負担額が大きくなります。自分で負担しなければいけない医療費が増えるため、全家族の家計に大きな影響を与えます。
そして最悪の場合、がんなどで高度な治療を行っている人が治療を受けられなくなったり、長期入院している人の生活が経済的に苦しくなるなどの事態も起こりうるかもしれません。
実際に自己負担金額がいくら増えるのかという具体的な引き上げ金額については、引き続き検討中です。今のところ、収入が多い人の負担額が大幅に増え、収入が少ない人も負担が増えると考えられています。
当初は、2025年8月に制度の改正が行われる予定でした。しかし、患者団体などから、説明不足などの理由で猛反発を受け、高額療養費制度の変更は先送りされました。今後は、2025年の秋ごろ議論が本格的に再開され、来年以降に自己負担額の引き上げとなる予定です。
まとめ
大きなけがや病気にかからないと、高額療養費制度を利用する機会は少ないかもしれません。しかし、高額療養費制度は、私たちの医療を支える重要な制度のひとつです。今後の国会での議論やニュースを確認し、どのくらい医療費負担が増えるのか、注視するようにしましょう。