大学生にかかるお金
大学の4年間の学費は、平均で国公立大が約243万円、私大文系が約411万円、私大理系が542万円です。
平均的な生活費は、自宅生が年約39万円、自宅外生が年約111万円かかります。学費と生活費で大きなお金がかかるため、大学生のうち49.6%がなんらかの奨学金を借りています。
奨学金といえば日本学生支援機構が有名ですが、自治体や民間団体、大学などが行う制度もあります。一般的に【貸与型有利子→貸与型無利子→給付型】の順で、審査基準は厳しく競争率も高くなります。
ここからは、「貸与型奨学金」を借りたあとに発生する子どもに影響があるメリット、デメリットをご紹介します。もし借りる場合は認識した上で借りましょう。
デメリット1.卒業後に返済がある
仮に日本学生支援機構で貸与型奨学金を300万円または600万円借りた場合、大学卒業後の返済例は次のようになります。
日本学生支援機構の貸与型奨学金の借入総額の平均は310万円ですが、1,000万円以上の借り入れをしている人もいます。
参考までに、大卒の20代前半の平均月収は約23.4万円で税金や社会保険料が引かれると手取りは約18.5万円。お子さんが「一人暮らし」をされる予定など、ライフスタイルによっては返済しながらの生活が苦しいと感じることが想定されます。
デメリット2.将来の生活設計に影響する
奨学金の返済は生活のどんなところに影響してくるのでしょうか。日本学生支援機構の奨学金を返済中の人へ実施したアンケート調査では、以下のような結果となっています。
※労働者福祉中央協議会「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2022年)」より
6割以上の人が返済のために思うように貯蓄ができないと感じているほか、日常的な食事や医療機関の受診などの基本的な生活費も節約しながら返済していることがわかります。
また、奨学金は大学卒業後に返済が始まり、返済期間は平均で14.5年です。一般的に結婚や出産を考える年代にあたり、ライフイベントへの影響も少なくありません。
生涯年収が多くなる
奨学金を借りることはデメリットばかりではありません。
奨学金を借りて大学に行くと仕事に役立つ専門的な知識を学べたり、資格が取れたりします。医師や弁護士、教師といった大学を卒業していなければ就けない職業もあります。
大卒者は高卒者より一般的に賃金が高く、生涯年収が男性では4,440万円、女性では4,880万円多い(※)という調査結果もあり、大学を卒業することで大学にかかる費用を超える収入の増加が見込める場合もあります。
(※)独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2023労働統計加工指標集より 卒業後~60歳までフルタイムの正社員で働いた場合(退職金含まず)
大学進学を希望する子に親ができること
努力していても十分な教育資金が用意できない場合もあるでしょう。その場合、親としてできることは「子どもに奨学金のメリットとデメリットを伝える」「できるだけ条件のいい奨学金を調べる」の2つです。
まだ社会に出ていない子どもにとって、月数万円のお金を長期間返済していく大変さは想像しづらく、理解することは難しいことです。
将来、奨学金を借りたことを悪い方向に「予想外だった」と感じないように、奨学金を借りて大学に行く意義を長期的な視点で子どもと話し合いましょう。
また。奨学金は運営団体により給付の基準は様々です。予め十分にリサーチしておけば、給付型などの条件のいい奨学金を受けるための準備をすることも可能です。