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薬局のレシート捨てないで!知って得する「セルフメディケーション税制」とは?

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2025.06.11

薬局で、頭痛薬や風邪薬など市販の薬を買った場合、税金がお得になる「セルフメディケーション税制」をご存じですか? 今回は、制度の概要を解説し、税金を安くするために必要な手続き方法をご紹介します。

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セルフメディケーション税制とは?

病院に行くまでもないけれど、少し体調が悪い場合、薬局で購入した頭痛薬や風邪薬、シップ薬など利用している人も多いでしょう。これらの医薬品を購入した金額が、自分や家族分を合わせて、年間で12,000円を超える場合、セルフメディケーション税制という制度の対象となります。制度を利用すると、支払わなければならない税金を減らすことができ、大変お得になります。

具体的に、セルフメディケーション税制の内容をチェックしていきましょう。

薬を選ぶ女性出典:stock.adobe.com

<制度を利用できる人>

「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている居住者が対象となります。一定の取組とは、健康保険組合等が実施する健康診査や、インフルエンザ予防接種などの予防接種を受けることを指します。

なお、税金の申告を行う人が、一定の取組を行っている必要があります。家族など、申告をする人と生計を一にする配偶者やその他の親族は、一定の取組を行っている必要はありません。

<対象となる商品>

市販されている頭痛薬、風邪薬、下痢止め、水虫薬、肩こりなど関節痛へのシップ薬など、幅広い市販薬が対象となります。具体的な対象商品は、厚生労働省のホームページを確認してみましょう。

<対象となる金額>

1年間で、自分または自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために、12,000円を超える対象医薬品を購入した場合、制度を利用することができます。なお、控除の上限は88,000円です。12,000円を超える部分の金額(その金額が88,000円を超える場合は、88,000円)について、総所得から控除されます。

どのくらい税金がお得になるの?

では、具体的に、セルフメディケーション税制を利用すると、いくら税金が安くなるのか確認していきます。

例えば、課税所得が400万円で、対象となる医薬品を年間20,000円購入した場合を見ていきましょう。

課税所得から控除される金額は、20,000円-12,000円で8,000円となります。減税額は、所得税が1,600円(控除額8,000円×所得税率20%)、住民税が800円(控除額8,000円×10%)となり、合計で、2,400円の節税となります。

購入した医薬品の金額が多い方や、所得税率が高い方の方が、より節税金額が高くなります。

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制度を利用する方法とは?注意点も確認

セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、毎年2~3月に行われる確定申告をする必要があります。確定申告を行う際に、「セルフメディケーション税制の明細書」を確定申告書に添付しましょう。

なお、セルフメディケーション税制を利用する場合、医療費控除制度を利用することができません。どちらの方が節税金額が大きくなるのか、確認して選択するようにしましょう。

確定申告出典:stock.adobe.com

また、セルフメディケーション税制の対象医薬品を購入した際の領収書や、一定の取組(健康診断や予防接種)を行ったことを明らかにする書類は、自宅で5年間保管する必要があります。

薬局でもらったレシートは捨てずに管理し、確定申告の際に、利用できるようにしておきましょう。

まとめ

セルフディケーション税制を知らずに、薬局でもらったレシートを捨ててしまっている人は、節税できるチャンスを逃している可能性があります。今回ご紹介した内容を参考にしながら、自分の家計では、制度を活用できるのか、確認してみましょう。

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著者

下中英恵

下中英恵

東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています。

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