高収入世帯と貯蓄額
まずは、夫と妻が働いている、ダブルインカムの家庭において、収入と貯蓄の関係について見ていきましょう。ここでは、金融広報中央委員会が公表している資料「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」を参考にしています。
高収入のダブルインカム家庭(世帯主と配偶者のみが就業している家庭)の場合、きちんとお金を貯めている方も多くいます。収入1000~1200万円世帯の平均金融資産保有額は、1958万円です。また、収入1200万円以上世帯の平均金融資産保有額は、3674万円となっています。
しかしダブルインカム世帯において、年収が1000万円以上あるにも関わらず、貯蓄が全くない(金融資産保有額がゼロ)という家庭もあります。貯蓄がゼロの世帯の割合は、以下の通りとなっています。
<ダブルインカムで収入1000~1200万円世帯のうち>
貯蓄がゼロ:10.9%
<ダブルインカムで収入1200万円以上世帯のうち>
貯蓄がゼロ:9.4%
高収入貧乏になる理由
高収入のダブルインカム家庭であるにも関わらず、貯蓄がうまくいかない理由には、以下のようなものが挙げられます。
- お互いの収支を把握していない
- 先取り貯蓄をしていない
- お互い自由にお金を使っている
- 将来のマネープランを立てていない、共有していない
貯蓄ができない家庭では、ダブルインカム家庭であるからこそ自分だけでお金を管理し、お互いに収支を公表していないケースが多いようです。自由にお金を使っているため、先取り貯蓄ができておらず、手元にあるお金を使い切ってしまうこともあるでしょう。
最も大きな問題は、ライフプランやマネープランを話し合っていない点です。一緒に生活しているからこそ、「家を買う予定だから10年後に頭金1000万円を用意しよう」「5年後に子どもが大学に進学する予定だから、500万円は貯蓄しておこう」というように、何年後にどんな出費があるのか、お互いが把握し、お金を準備していく必要があります。
ライフプランやマネープランについて、話し合ったことがないという家庭は、ぜひお互いに認識をすり合わせておきましょう。
貯蓄を成功させるポイント
いくら収入があったとしても、先取り貯蓄をしたり、将来必要な金額を把握していなければ、貯蓄は成功しません。貯蓄を成功させるポイントを確認しておきましょう。
- ダブルインカムであっても、お互いの収支を公表する
- ライフプランやマネープランを立てて、先取り貯蓄を行う
実は、貯蓄を成功させるポイントは、高収入であっても、低収入であっても、違いはありません。収支を明らかにし、先取り貯蓄を行えば、収入の金額に関わらず、しっかりとお金を貯めることができます。
ダブルインカムの家庭は、お互いお金についてはタブーで、話し合う機会がないという方もいるかもしれませんが、家族である以上、しっかりと時間をとって、情報を共有しましょう。
まとめ
「収入が高ければ、貯蓄もできるはず」と思いがちですが、実際は収入が高いにも関わらず、思うように貯蓄ができていないケースもあります。今回ご紹介した高収入貧乏の理由を参考にしながら、自分たちは当てはまっていないか、改善できる点はないかなど、ぜひパートナーと話し合ってみてはいかがでしょうか。