教えてくれたのは、ウェルスナビ株式会社 小松原さん
働く世代が豊かさを実感できる社会をつくりたいという理念に共感し、ウェルスナビにセミナー講師として入社。これまでに、1,000回以上の資産運用セミナーに登壇し、参加者からの多くの質問にも答えている。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
焦りからの「短期投資」は避ける
老後への不安から「今のうちに手っ取り早く増やしたい」と焦りを感じるかもしれません。ですが、その焦りから「短期投資」に走るのは避けたいところです。
例えば、スマートフォンの画面で頻繁にチャートの動きを見て、個別株の売買を繰り返すような投資スタイルです。こうした短期投資を、特に50代以降で資産運用の中心に据えることはおすすめしません。
なぜなら、相場の動きを予測するのは、プロでも難しいからです。予測が外れた際に、資産が大きく目減りしてしまうようなことがあっては、穏やかな老後が遠のいてしまいます。
老後資産を目的とした資産運用の軸は、あくまで長期投資が基本です。日々の値動きに一喜一憂せずに、世界経済の成長に合わせて、淡々と積立を続けましょう。
金は「安全資産」と言われるが、値動きは意外と大きい
昨今の「金」価格の上昇を受け、気になっている方も多いかもしれません。現に今、非常に人気が集まっています。
金はそれ自体に価値がある「実物資産」のため、価値がゼロにならないという意味で「安全資産」と呼ばれます。そのため値動きが安定しているというイメージがあるかもしれませんが、実は意外と値動きが大きい資産でもあります。
過去のデータを見ると、価格が年間で24%上昇した2020年のような年もあれば、逆に28%も下落した2013年のような年もありました。
出典:www.wealthnavi.com※各資産クラスに対応するETFの年次トータルリターン。米国株:VTI、日欧株:VEA、新興国株:VWO、債券:AGG、金:GLD、不動産:IYR(ウェルスナビ提供)
金はあくまで資産を分散させる対象の一つ。たとえば金だけに集中投資をすることはおすすめしません。
「傘屋とアイスクリーム屋」の戦略を
では、何に投資をすればいいのでしょうか。
ここで参考になるのが「傘屋とアイスクリーム屋」の話です。
猛暑の夏はアイスクリームが売れますが、傘は売れません。逆に、冷夏で雨が続くとアイスクリームは売れ残り、傘が売れる。どちらになっても困らないように、両方のお店を持っておく――。これは、先が読めない相場の中で、値動きが違うものを組み合わせる「分散投資」の知恵をたとえたものです。
これを現代の投資に当てはめるなら、「株式と債券」を組み合わせましょう。
最近は株式のみの投資信託が人気ですが、もし老後に使う時期になってから経済危機が起きたら、資産が大きく値下がりしてしまう可能性があります。株式だけでなく、値動きが比較的穏やかで、株とは異なる値動きをする債券にも分散することが大切です。
老後資金は「使いながら運用する」
長期投資の目安は10年以上といわれます。「10年なんて、今から間に合わない」と思われるかもしれませんが、使う時期も含めての10年と考えればよいのです。
退職したら運用をやめるのではなく、資産運用を続けながら、必要な分を少しずつ取り崩して日々の生活費に充てていきます。
物価が上がり続けている今の時代、資産を現金だけで持つのではなく、運用で資産寿命を延ばす考え方が欠かせません。
まとめ
50代、60代の資産運用の目的は、多くの方にとっては穏やかな老後を送るための支えをつくることではないでしょうか。
この世代の資産運用で重要なのは、大きなリターンを狙うことではなく、「大きな失敗を避ける」ことです。
地道に長期・積立・分散の資産運用をすることが、一見遠回りのように見えて、実は一番の近道といえます。




